※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・投資・法律に関する助言(アドバイス)ではありません。
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お給料の明細で「Social Security Tax」として毎月しっかり引かれているのに、その中身をちゃんと説明できる人は意外と少ない——実はアメリカ人でもそうです。ソーシャルセキュリティ(Social Security)は、アメリカの公的年金制度。日本の厚生年金にあたる存在ですが、仕組みには違いがたくさんあります。この記事ではSSベネフィットについて調べたことをまとめていきたいと思います。
- SSタックスの仕組み(年収の上限を超えると引かれなくなる話)
- 受給資格「40クレジット」と受給額の決まり方
- アメリカ人でも意外と知らないポイント(受給開始年齢で終身24%差、配偶者・遺族給付など)
- 日本の年金との違いと、日米社会保障協定(駐在の方に特に重要)
数字はすべて2026年のSSA公式値を使っています。
目次
SSタックスの仕組み:年収に「上限」がある
給与から引かれるFICAタックスの内訳はこうなっています。
- Social Security税:6.2%(会社も同額を負担。自営業は両方で12.4%)
- Medicare税:1.45%(同じく会社も1.45%。高所得者は追加0.9%あり)
そして意外と知られていないのがここ。Social Security税の課税対象となる年収には上限(Wage Base)があり、2026年は$184,500。この金額を超えた分のお給料には、SS税はかかりません(出典:SSA 2026 Fact Sheet)。
だから、年の途中でこのラインを超えると、その年の残りの給与明細からSS税の控除が消えます。「あれ、税金が引かれてない!ミス!?」と焦りがちですが、ミスではなく上限に引っかかったということです(翌年1月からまた引かれ始めます)。逆にMedicare税には上限がなく、こちらは年収がいくらでもずっと引かれ続けます。
なお、この上限は「払う側」だけでなく「もらう側」にも効いていて、受給額にも上限がある(2026年の満額受給年齢での最大額は月$4,152)のは後述のとおりです。
受給資格:「40クレジット=約10年」働けばOK
ソーシャルセキュリティを受給するには、40クレジット(Credits)が必要です。
- 2026年は$1,890の収入ごとに1クレジット、年間最大4クレジットまで獲得。
- つまりフルタイム(1,890ドル x4以上の年収)で働けば約10年でクリア。専業主婦(夫)期間があっても、通算で40クレジット分あればOK。
- 自分のクレジット数と将来の受給見込み額は、SSAの「my Social Security」アカウント(ssa.gov)でいつでも確認できます。渡米したらまず作っておきたいアカウントです(収入記録の誤りチェックにもなります)。
受給額はどう決まる?:「稼ぎの多い35年」の平均
受給額の計算はざっくり言うとこうです。
- 生涯で稼ぎの多かった35年分の収入(物価調整後)を平均する
- 35年に満たない分は「収入ゼロの年」としてカウントされる(←キャリアの短い移民・駐在には効いてくるポイント)
- 平均額に累進的な計算式を適用。低所得部分ほど手厚く置き換えられる設計で、収入が2倍でも年金は2倍にはならないのがアメリカ年金の特徴です。
アメリカ人でも意外と知らないポイント集
①受給開始年齢で、終身の月額が最大54%も変わる
満額受給年齢(FRA:1960年以降生まれは67歳)を基準に、62歳まで繰り上げると30%減、70歳まで繰り下げると24%増。その差は終身続きます。

「長生きするなら繰り下げが得」が一般論ですが、健康状態・他の収入・配偶者の状況で最適解は変わります。「みんな62歳でもらい始めるから」で決めるのはもったいない、とだけ覚えておいてください。
②働きながら早期受給すると、一時的に減額される
67歳のFRA前に受給しながら働くと、年収$24,480(2026年)を超えた分$2につき$1が一時的に差し引かれます(Earnings Test)。FRAに達すると減額はなくなり、差し引かれた分も再計算で戻ってくるのですが、この「戻ってくる」部分はアメリカ人でも知らない人が多いポイント。
③配偶者・遺族にも給付がある
- 配偶者給付(Spousal Benefit)…働いていなかった(収入が少なかった)配偶者も、相手のFRA時受給額の最大50%を受け取れます。専業主婦(夫)期間の長い家庭には大きな存在
- 遺族給付(Survivor Benefit)…配偶者が亡くなった場合、遺された側は最大100%を受給。未成年の子どもへの給付もあります
- 離婚しても、婚姻期間10年以上なら元配偶者の記録で受給できる…これも知られざるルールの代表格です
④受給額には毎年COLA(物価調整)が入る
インフレに合わせて毎年自動で増額されます(2026年は+2.8%)。「もらい始めたら固定」の商品ではない、というのは安心材料。
⑤受給中のソーシャルセキュリティにも税金がかかる(ことがある)
収入によっては、受給額の最大85%が連邦課税所得に含まれます。「年金は非課税」と思い込んでいると老後の資金計画がずれるので要注意。州によっても違うので、お住まいの州のルールも要確認です。
日本の年金との違い&日米社会保障協定
ざっくり比較:日本の年金とここが違う
- 加入期間の考え方…日本の老齢年金は10年(120か月)の受給資格期間、アメリカは40クレジット(約10年)と、入口は似ています。ただしアメリカは「良い35年の平均」で金額が決まるため、長く高く稼ぐほど有利な一方、累進設計で低所得者に手厚いのが特徴
- 保険料の上限…日本の厚生年金は標準報酬月額に上限がある点は似ていますが、アメリカのSS税は上限到達後は完全にゼロになるのが分かりやすい違い
- 「国民全員」ではない…アメリカは働いて稼いだ人(とその家族)の制度。日本の国民年金のような「働いていなくても全員加入」の仕組みはありません(そのぶん配偶者給付でカバーする設計)
日米社会保障協定:駐在・移住組の強い味方
「アメリカに数年しかいないから、SS税は払い損…?」——ここで効いてくるのが日米社会保障協定(Totalization Agreement)です。
- 二重加入の防止…駐在の形態によっては、日米どちらか一方の制度だけに加入すればOK(5年以内の派遣は日本の年金continueが典型)とのこと。
- 加入期間の通算…アメリカの40クレジットに満たなくても、日本の年金加入期間と通算して受給資格を満たせます(例:米国6年+日本20年→米国分は6年分の額を受給)。逆も同様で、日本の受給資格10年にアメリカ期間を通算可能のようです。
- つまり「払ったSS税が完全に掛け捨てになる」ケースはかなり減らせる設計になっています。手続きは日本年金機構・SSA双方に窓口があります。
朗報:日本の年金による減額ルール(WEP)は廃止されました
以前は、日本の年金など「SS税を払っていない年金」を受け取る人のソーシャルセキュリティが減額されるWEP(Windfall Elimination Provision)というルールがあり、日本人の受給者を悩ませてきました。これが2025年のSocial Security Fairness Actで廃止に。日米両方の年金をもらう予定の方には大きなニュースなので、古い情報にはご注意ください(出典:SSA)。
気をつけたいこと・やっておきたいこと
- my Social Securityアカウントを作る…収入記録の確認と受給見込みチェック。記録の誤りは早く見つけるほど正しやすいです。
- ソーシャルセキュリティだけで老後は賄えない前提で…平均的な受給額は生活費の一部をカバーする水準。401k・IRAなどの自助努力とセットで考えるのが基本です。
- 制度の将来見通しはニュースをフォロー…信託基金の枯渇予測(2030年代半ば)が報じられていますが、「ゼロになる」ではなく「税収分(7〜8割程度)は払われ続ける」見通しというのが正確な理解。ただし制度改正の可能性は頭の片隅に。
- SSNとソーシャルセキュリティ詐欺に注意…「あなたのSSNが犯罪に使われた」系の電話は詐欺です。SSAから電話で支払いを求められることはありません。
まとめ
- SS税は6.2%・年収$184,500(2026年)で打ち止め。年の途中で控除が消えても慌てない
- 受給資格は40クレジット≒10年。受給額はベスト35年の平均×累進式で、上限は月$4,152(2026年・FRA時)
- 受給開始は62〜70歳で選べて、終身の月額が最大54%変わる。配偶者50%・遺族100%・離婚後給付も忘れずに
- 日本人には日米社会保障協定(通算・二重加入防止)とWEP廃止が重要。数年の駐在でも払い損になりにくい仕組みです
アメリカの老後資金の全体像は、こちらの記事もあわせてどうぞ。→ 共働きW-2会社員ができる税金対策5つ…401k満額・HSA・FSA・Tax-Loss Harvesting・529【わが家の実践】
※数値は2026年のSSA公式発表値です(毎年変わります)。制度は改正される可能性があり、本記事は一般的な情報提供であって個別の年金・税務アドバイスではありません。個別のケースはSSA・日本年金機構・専門家にご確認ください。




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